納棺師になりまして。

納棺師という職よりおくりびとの方が有名なので聞かれたらおくりびとと答えている納棺師の日常をお送りしていきます。

初日 秋の終わりに

私がこの仕事をはじめたのは5年前の10月だった

亡くなった人を触るなんてできるのだろうか

 

怖くないのか

 

悲しくないのか

 

ちゃんと続けられるのか

 

明日もこの会社に来れるのだろうか

 

 

そんな不安を抱きながら現場に行った。

 

最初に故人様を見たとき、

 

わ。ほんとに死んでる

 

って思ったけどそこでひるむなんてかっこ悪い!

あたかも全然大丈夫です へへん

って感じにしてたのだが、突然先輩に

 

ちょっと手を持ってもらっていいですか?

 

と言われ

 

ばかやろうか!そんなんいきなりハードル高いわ!今日初日!私今日初日!

 

と思ったけど先ほども言ったようにひるむのはかっこ悪い!

余裕っすよ先輩!って感じで故人様の手を握った

がしかし

つかんだその手はとても冷たくなんだか無性に悲しくなって

さっきまでの感情はどっかにいってしまった。

 

手は冷たいのに柔らかく、

昨日まで生きていて

頑張って病気と闘って、もっと生きたいって思った人なんだ

 

人なんだ

 

実際のところ死因とか覚えてないけどそんな風に思ったのは覚えてる。

 

 

あれから5年

 

私は変わらずこの仕事が好きだ。