納棺師になりまして。

納棺師という職よりおくりびとの方が有名なので聞かれたらおくりびとと答えている納棺師の日常をお送りしていきます。

曾祖母の死

私が12歳の時曾祖母が亡くなった。

92歳だった。

曾祖母は隣人の火事により家をなくし私の家の敷地に小さいプレハブを建てて晩年を過ごしていた。

いつもマイルドセブンのたばこを吸って、時に私と将棋やオセロをして、

愛犬とテレビを見てのんびり過ごしていた。

元気に過ごしていたある日、いつものようにお風呂に入る準備をしていたのだが

母から

おばあちゃん今日元気ないから服着替えるの手伝って

と言われ、曾祖母の背中に自分の背中を当ててもたれさせるようにした。

 

おばあちゃん。力ぬきすぎ重いよー

と話しかけても返事はなく

突然母が

おばあちゃん!おばあちゃん!!!!

と大きな声を出して慌てて部屋から出て行った。

わけのわからない私はとりあえずもたれるおばあちゃんをどうすることもできず、

重いのを耐えながらキープ。

すると母と父が戻ってきてやっとおばあちゃんを寝かせた。

マジ腰いてえ

って思ったと思う。

そしておばあちゃんが寝たままぴくりとも動かないのをじっと見つめてたら

医者がきて

ご臨終です。 といった。

 

ご臨終です。

 

人生最初に聞いたご臨終だった。

 

私の背中でご臨終。

そんなことあるのかい。

 

そんなレアな体験をした私が今納棺師をしていることも運命なのかもしれない。

 

おばあちゃん。私みんなに感動してもらえる納棺師になるからね。